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NPO法人タッチインピースの今回参加された方々とカメラマン川上 真さんの感想

田岡 麗さん NPO法人タッチインピース代表

 在大阪カンボジア領事館がバックアップしてくださり、今年の二度目のカンボジア訪問では5人のセラピストがこの素晴らしい活動に参加する事ができました。今回は朝と夜にメンバー同士でじっくりミーティングを重ね、子供達の様子、セラピーのリアクション、どのようにセラピーに集中させるか、など意見を出し合いました。その中でタッチケアだけでなく、音楽や、アートによる癒しの時間も加える事になり、ケアの時間が、どんどんクリエイティブな変化をしていきました!
 年に数回の訪問の中で、できることに限界はありますが、それでもその中で出来る最大のことをすべく、話し合いや工夫をしていきたいと思います。今回は全員分ではありませんが、子供達の施設に入るまでの生育歴など書かれたものを見ながらワークできたので、身体の傷が虐待によるものなのか、手術によるものなのか、知った上でワークできるケースもあり、今までよりも「トラウマケア」に踏み込んだように思っています。ふだん明るく、元気にしている沢山の子供が、実は虐待の経験者です。厳しい環境で育ち、HIVにも感染している。そんなかれらに本当に出来る事は、祈る事しかないくらいの無力感に襲われる事もありますが、彼らと出会う時に湧いてくる私達の中の「祈る心」は、私達を強く清めてくれるものでもある、と感じます。 この活動を出来るだけ長くつづけていきたいと思っています。 また今回、写真展や、デイズジャパンを通して、この地味な取り組みを色々な方に知って頂く機会を得た事に感謝しています。ご協力頂いた皆様、ありがとうございました。

森 すみれさん

 今回、はじめてタッチインピースの活動でのカンボジア。 皆がマッサージテーブルで施術している間、その横の空間でアートセラピーをして、子どもたちと絵を描いたり、歌ったりして過ごしました。 元気すぎるほどに遊び、走り回る彼らのペースに振り回されながらも、描く事、創る事にとても精力的な姿に出会えた事は、とても嬉しい体験でした。 作品からHIVへの不安や悲しみの表現を時に感じつつ、彼らの創造力がきっと救いになる、そんな希望も抱かせてくれた時間でした。 このような機会をどうもありがとうございました。

浅井 佳洋子さん

 暑い。 Tシャツの下で汗がいく筋も流れる。 手元を見ると、女の子の額にも玉のような汗。 彼女の耳の裏がわに、ケロイド状の大きな傷をみつける。 ゆっくり、やさしく、その傷のまわりをマッサージする。 この小さな女の子は、どんな体験をしたんだろう、どれだけ痛かっただろう、 ちゃんと抱いて慰めてもらえたのだろうか・・・。そんな思いがよぎったが、気が付いたら無心になっていた。 できることならば、永遠に、あのままし続けていたかった。 触れるということを通して、彼女と私のあいだに橋が架かる。
 今回の企画に尽力して頂いた全ての方々に、深く感謝いたします。 ほんとうに ありがとうございました。

高田 香代子さん

 多くの学びをいただいた一週間。カンボジアの事、HIVの事、子供達の身体が語りかける沢山の物語。そして活動を支え合う仲間と関係者の皆様への感謝。一歩踏み出すことで広がる情報に圧倒されながらも私の中に活気がわきあがりました。貴重な時間と支援をありがとうございました。

大谷百世さん

 今回見えて来たことがあります。 日本的な細やかな視点で、我々にしか出来ないケアがあるのではないかということ。ほんの一瞬、セラピーを通じて、誰よりも彼ら一人ひとりと深く向き合うことの出来る大人になれるのかも、しれません。その一瞬を、とらえ続けた今回のセラピー中の撮影は、何があっても、目の前の彼らと誠実に向き合うことだけが必要なんだと、教えてくれた特別な時間でした。共に活動出来た仲間に、タッチインピースに、在大阪カンボジア名誉領事館の山田名誉領事に、とても感謝しています。ありがとうございました。

川上 真さん

 この度は、写真展や雑誌掲載の機会を頂き大変ありがとうございました。 5年前より地雷や事故で障害を負ったカンボジアの青年たちの写真を撮り始め、当初は貧しく暗いカンボジアの姿を撮影していました。 それは、「笑顔」「子ども」「夢」という日本で好まれる既存のイメージに対してどこか疑問を持っていたからです。
 今もその思いは変わりませんが、この国に通う中で希望や夢はないけれど、逆境を受け入れる諦めのような明るさをカンボジアの青年達から教わりました。このことはNHCCの子ども達にも共通していたように思います。親を亡くし、虐待を受けたこと、そしてHIVという不治の病と共存すること、幼い頃から自然に受け入れなければいけなかったのでしょう。セラピストさん達と同行することで、身体のスペシャリストの視点から、孤児達に共通する体の強張りを知れたことは良い機会となりました。 「言葉にはできない思い」。今回の撮影では、その部分を表現することを課題に取り組みました。力が至らず、表現しきれなかった部分が多々あったかと思います。写真展を観に来て下さった方々が、一人でも彼らの笑顔の裏側にある思いや、ほぐれた表情を感じ取って頂けたら、写真家冥利に尽きます。また、これからも彼らの成長を写真を通して伝えていきたいと思います。
 最後になりましたが、在大阪カンボジア王国名誉領事館の皆様の取り組み、マッサージセラピーの撮影に携われたことを感謝致します。マッサージを受ける子ども達が見せた安堵の表情は忘れられません。一時と言えども、セラピーが集団生活のなかで病と向き合う子ども達の心にどれほどの温もりを与えたことでしょう。ありがとうございました。

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