一般的に発展途上国の投資関連法は外国企業の投資制限を目的としたものが主流でしたが、カンボジアの外国直接投資に関する法制度は積極的な投資を奨励することを目的に設計されています。代表的なものが、土地所有を除き外国法人と内国法人の差別が設けられていない「内外法人無差別の原則」です。
カンボジア政府は外国投資を促進するために色々なサービスの向上を図っていますが、中でも全国で展開されている経済特区内に設立された「経済特区管理委員会」では、投資プロジェクトの登録から輸出入の許可に至るまでのワン・ストップ・サービスを提供しており、投資家にとっては利便性の高いものとなっています。
1990年代のカンボジアヘの外国投資は、タイ、マレーシア、シンガポール、香港といった近隣諸国・地域からが主流で、投資分野としては縫製業、サービス業が中心でした。最近では中国からの投資が圧倒的に多く、2018年の外国直接投資認可額では70%超を占めています。カンボジアに対する中国からの投資分野は製造業からサービス業、不動産業に至る幅広いものとなっており、このトレンドは当分続くものと思われます。
また、中国企業による膨大な投資の結果、カンボジアのインフラが急速に整備されつつあります。
カンボジアヘの日本からの直接投資額は金額としては中国の足元に及ばないものの、件数的には増加傾向にあります。特に製造業にあってはタイプラスワン、チャイナプラスワンの視点からカンボジアヘの分散投資を行う動きが顕著です。
これにより、カンボジア日本人商工会の登録企業数は1990年代の30社程度から最近では260社を超えるまで増加しています。